「カスタマージャーニーマップを作りたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」「テンプレートを探してみたものの、自社のビジネスに合うものが見つからない」——そんな悩みを抱えていませんか。カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・継続利用に至るまでの体験を一枚のマップに可視化するフレームワークです。正しい手順で作成すれば、マーケティング施策の精度が飛躍的に向上します。本記事では、初心者でも今日から実践できる5ステップの作り方、BtoB・BtoC別のテンプレート構成例、業界別の記入済みサンプル、さらにAI活用の最新手法まで網羅的に解説します。ぜひ最後まで読み進めて、自社のカスタマージャーニーマップ作成に役立ててください。
カスタマージャーニーマップの定義と「カスタマージャーニー」との違い
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用・継続に至るまでの一連の体験を、時系列で図にまとめたフレームワークです。
まず「カスタマージャーニー」と「カスタマージャーニーマップ」は厳密には異なる概念です。カスタマージャーニーは顧客が体験するプロセスそのものを指し、カスタマージャーニーマップはそのプロセスを可視化した成果物を指します。この関係性を理解しておくと、作成の目的が明確になります。
カスタマージャーニーマップには、各フェーズにおける顧客の行動、思考、感情、タッチポイント(企業との接点)、課題などが含まれます。単なる「購買フロー」の図解ではなく、顧客の心理面まで踏み込んで整理する点が最大の特徴です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| カスタマージャーニー | 顧客が体験する一連の購買プロセスそのもの |
| カスタマージャーニーマップ | そのプロセスを図として可視化したもの |
Nielsen Norman Group(UXリサーチの世界的権威)は、カスタマージャーニーマップの本質を「ストーリーテリングとビジュアライゼーションを組み合わせ、チームが顧客のニーズを理解し対処するためのツール」と定義しています。つまり、マップを作ること自体がゴールではなく、顧客理解を起点に組織全体でアクションを生み出すことが真の目的です。
カスタマージャーニーマップが注目される背景
カスタマージャーニーマップが多くの企業で活用されている背景には、顧客の購買行動の複雑化があります。
スマートフォンの普及、SNSの台頭、比較サイトや口コミプラットフォームの増加により、顧客が情報を得るチャネルは年々多様化しています。かつては「テレビCMを見て → 店舗に行って → 購入する」というシンプルな購買行動が主流でした。しかし現在は、SNSで知り、検索エンジンで調べ、口コミを確認し、比較サイトで検討し、オンラインで購入するという複雑な流れが当たり前になっています。
このように顧客接点が増えた結果、企業は「どのタイミングで」「どのチャネルで」「何を伝えるべきか」を戦略的に設計する必要が出てきました。カスタマージャーニーマップは、この複雑な顧客行動を一枚の図に整理し、最適なコミュニケーション戦略を設計するための手段として注目されています。
また、マーケティング部門だけでなく、営業・カスタマーサクセス・プロダクト開発など複数部門の連携が求められる時代においても、全員が同じ顧客像を共有できるカスタマージャーニーマップの価値は高まっています。
カスタマージャーニーマップの3つの種類(現状型・理想型・サービスブループリント)
カスタマージャーニーマップには、目的に応じて使い分ける3つの種類があります。
第一に「現状型(As-Is Map)」です。 現在の顧客体験をそのまま可視化するタイプで、既存のプロセスにおける課題やボトルネックを発見するために使用します。すでに事業を運営している企業が最初に取り組むべきマップです。
第二に「理想型(To-Be Map)」です。 将来あるべき理想の顧客体験を描くタイプで、新規事業の企画やサービスリニューアル時に活用します。現状型で発見した課題を解決した後の「あるべき姿」を設計する際に有効です。
第三に「サービスブループリント」です。 顧客体験に加えて、裏側の社内オペレーション(バックステージ)まで含めて可視化するタイプです。顧客の行動と企業内部のプロセスを紐づけることで、どの部門が何を担当すべきかを明確にできます。
| 種類 | 目的 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 現状型(As-Is) | 現在の顧客体験の課題発見 | 既存事業の改善 |
| 理想型(To-Be) | 理想の顧客体験の設計 | 新規事業・リニューアル |
| サービスブループリント | 社内オペレーションとの連携設計 | 組織体制の見直し |
まずは現状型から取り組み、課題を特定した後に理想型で改善の方向性を描くという流れが最も効果的です。
顧客視点でマーケティング施策を設計できる
カスタマージャーニーマップの最大のメリットは、企業視点ではなく顧客視点で施策を設計できるようになることです。
多くの企業では「この商品をどう売るか」という内部視点で施策を考えがちです。しかし、顧客にとって重要なのは「自分の課題がどう解決されるか」です。カスタマージャーニーマップを作成すると、各フェーズで顧客が何を知りたいのか、どんな不安を抱えているのかが明確になるため、顧客にとって本当に価値のあるコンテンツや施策を設計できるようになります。
たとえば、BtoBサービスの「比較検討」フェーズでは、顧客が知りたいのは「自社と似た規模の企業が導入して成果を出しているか」という情報です。この視点がなければ、企業側は「機能一覧」ばかりを訴求してしまい、顧客の本質的なニーズとずれたコミュニケーションになりかねません。
部門横断で共通認識を形成できる
カスタマージャーニーマップは、異なる部門が同じ顧客像を共有するための「共通言語」として機能します。
マーケティング、営業、カスタマーサクセス、プロダクト開発など、それぞれの部門は日々異なるKPIを追いかけています。そのため、同じ顧客に対しても部門ごとに見方がバラバラになりがちです。カスタマージャーニーマップを全部門で共有すれば、「今、この顧客はこのフェーズにいるから、こういうコミュニケーションが必要だ」という認識を統一できます。
結果として、顧客に対して一貫性のある体験を提供できるようになり、部門間の連携ミスや施策の重複も防止できます。
施策の優先順位とボトルネックを可視化できる
カスタマージャーニーマップを作成すると、施策が手薄なフェーズやボトルネックが一目で把握できます。
たとえば、マップを見た結果「認知フェーズの施策は充実しているが、比較検討フェーズのコンテンツがほとんどない」ことが判明するケースは珍しくありません。このように、全体を俯瞰することで「今、最も投資すべきフェーズはどこか」を根拠を持って判断できるようになります。
限られた予算やリソースを最大限に活かすためにも、カスタマージャーニーマップによる優先順位付けは非常に有効です。
顧客体験(CX)全体を一枚で俯瞰できる
カスタマージャーニーマップは、顧客体験の全体像を一枚の図に集約できる数少ないフレームワークです。
認知から購入後の活用・推奨まで、顧客が経験するすべてのプロセスを一覧できるため、「木を見て森を見ず」の状態を防げます。特に、近年では商品購入後の「オンボーディング」「活用促進」「ロイヤルカスタマー化」までを含めた広義のカスタマージャーニーを設計する企業が増えています。
購入前だけでなく購入後まで含めた顧客体験全体を俯瞰することで、LTV(顧客生涯価値)の向上につながる施策を設計できるようになります。
カスタマージャーニーの「離脱ポイント」を改善するなら
カスタマージャーニーマップで「顧客が離脱しやすいポイント」を特定したら、次に取り組むべきは離脱防止の具体策です。
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横軸:フェーズ(購買プロセス)の設計方法
カスタマージャーニーマップの横軸には、顧客が体験するプロセスの段階を時系列で配置します。
フェーズの設定はビジネスモデルや目的によって異なりますが、一般的には以下のように分類されます。
| BtoBの典型例 | BtoCの典型例 |
|---|---|
| 課題認識 | 認知 |
| 情報収集 | 興味・関心 |
| 比較検討 | 検索・比較 |
| 商談・評価 | 購入 |
| 導入決定 | 利用 |
| 活用・定着 | リピート・推奨 |
横軸を設計する際のポイントは、自社のビジネスに合わせてフェーズを調整することです。「認知→購入」のような大枠すぎる設定では施策に落とし込みにくく、逆に細かすぎると全体像が見えにくくなります。5〜7フェーズ程度を目安に設計するのがおすすめです。
縦軸①:顧客の行動(Actions)
縦軸の最初に配置するのが「顧客の行動」です。各フェーズにおいて、顧客が具体的にどのような行動をとるかを記述します。
たとえば「情報収集」フェーズであれば、「Googleで『○○ ツール 比較』と検索する」「業界メディアの記事を読む」「同僚に相談する」といった具体的な行動を書き込みます。抽象的な記述ではなく、顧客の動作が目に浮かぶレベルまで具体化することが重要です。
縦軸②:思考・疑問(Thoughts)
「思考・疑問」は、各フェーズで顧客が頭の中で考えていることや抱いている疑問を記述する項目です。
「この課題は本当にツールで解決できるのか?」「費用対効果はどの程度なのか?」「導入後のサポート体制はどうなっているのか?」など、顧客が内面で感じていることを言語化します。この項目を充実させることで、各フェーズに必要なコンテンツの方向性が明確になります。
縦軸③:感情(Emotions)と感情曲線の描き方
「感情」は、顧客の気持ちの浮き沈みを可視化する項目です。期待、不安、迷い、安心、満足、不満といった感情を各フェーズで記録し、折れ線グラフのような「感情曲線」として表現するのが一般的です。
感情曲線のポイントは、ネガティブに振れている箇所を特定することです。その箇所こそが「顧客が離脱しやすいポイント」であり、改善施策を投入すべき最優先のターゲットになります。
たとえば「購入直後にマニュアルがわかりにくくて不安になる」というペインがあれば、初期設定ガイドやチュートリアル動画を提供するという改善施策が導き出されます。
縦軸④:タッチポイント(Touchpoints)
「タッチポイント」は、顧客が企業と接触するチャネルや場面を記述する項目です。
Webサイト、SNS、メール、セミナー、営業商談、展示会、カスタマーサポート、口コミサイトなど、あらゆる接点を洗い出します。オンラインだけでなくオフラインの接点も漏れなく記載することが重要です。
タッチポイントを可視化すると、「どのチャネルに投資すべきか」「どのチャネルが手薄か」が明確になります。
縦軸⑤:課題・ペインポイント(Pain Points)
「課題・ペインポイント」は、顧客がストレスや不満を感じるポイントを記述する項目です。
「比較検討に必要な情報がWebサイトに載っていない」「問い合わせフォームが複雑で離脱してしまう」「契約後のサポート窓口がわかりにくい」など、顧客の目線で具体的に記述します。この項目は改善施策の起点となるため、できるだけ多く洗い出すことが大切です。
縦軸⑥:施策・機会(Opportunities)
「施策・機会」は、発見した課題を解決するために企業が打てる具体的なアクションを記述する項目です。
各フェーズの課題に対して「どのタッチポイントで」「どんなコンテンツや施策を」「どのようなCTA(行動喚起)とともに」提供するかを整理します。認知フェーズならSEO記事やSNS広告、比較検討フェーズなら事例紹介やホワイトペーパー、活用フェーズならオンボーディングプログラムといった形で具体化していきます。
ステップ1:ペルソナを作成する
カスタマージャーニーマップの作成は、ペルソナ(代表的な顧客像)の設定から始まります。「誰の旅を描くのか」を明確にしない限り、マップは抽象的で使えないものになるためです。
ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する代表的な顧客を、具体的な人物像として定義したものです。性別、年齢、職業、役職といった基本属性に加え、抱えている課題やニーズ、情報収集の傾向、意思決定における価値観などを設定します。
H4: BtoBペルソナの設定ポイント(役職・意思決定プロセス・課題)
BtoBの場合、ペルソナの設定では以下の要素が特に重要です。
- 企業属性: 業種、従業員規模、売上規模、所在地
- 個人属性: 部門、役職、担当領域、業務上の課題
- 意思決定における役割: 起案者・影響者・決裁者のいずれか
- 情報収集の傾向: よく閲覧するメディア、参加する展示会やセミナー
BtoBでは購買プロセスに複数人が関わるため、ペルソナは3〜5パターン作成するのが理想です。ただし、一度にすべて作る必要はありません。まずは最も重要な1パターンから着手しましょう。
BtoCペルソナの設定ポイント(ライフスタイル・価値観・情報源)
BtoCの場合は、以下の要素を中心にペルソナを設定します。
- 基本属性: 年齢、性別、居住地、職業、家族構成
- ライフスタイル: 趣味、休日の過ごし方、よく利用するサービス
- 価値観: 購入時に重視すること(価格・品質・ブランド・口コミ等)
- 情報源: SNS(Instagram・X・TikTok等)、検索エンジン、友人の口コミ
BtoCでは感情や価値観が購買意思決定に大きく影響するため、ライフスタイルや趣味嗜好まで具体的に描くことで、リアリティのあるジャーニーが作成できます。
ペルソナ作成時の注意点(精度50点でまず作る)
ペルソナ作成で最も重要なのは、最初から完璧を目指さないことです。
精度は50点で構いません。まずは「この人が自社の典型的な顧客だ」と言語化することが最優先です。作成した後に、営業担当者へのヒアリングや既存顧客へのインタビューを通じて徐々にブラッシュアップしていきましょう。
完璧なペルソナを作ることに時間をかけすぎて、肝心のカスタマージャーニーマップ作成に着手できない——という本末転倒な状況は避けるべきです。
ステップ2:ゴールとフェーズ(横軸・縦軸)を設定する
ペルソナを作成したら、次にマップのゴールとフレームワーク(横軸・縦軸)を設定します。
最初に「このマップで何を明らかにしたいのか」というゴールを定めることが重要です。「新規リード獲得プロセスの改善」「既存顧客の解約率低下」「ECサイトのカゴ落ち率改善」など、目的によってマップの範囲や粒度が変わります。
ゴールが決まったら、横軸にフェーズ(購買プロセス)を、縦軸に構成要素(行動・思考・感情・タッチポイント・課題・施策)を配置します。構成要素はすべてを入れる必要はなく、目的に応じて取捨選択して構いません。
ステップ3:顧客の行動・思考・感情を書き込む
フレームワークが決まったら、マップへの記入を開始します。記入は必ず顧客側(行動・思考・感情)から始めてください。
企業の「やりたいこと」から書き始めると、顧客視点がブレてしまうため、まずは「ペルソナがこのフェーズで何をするか」を具体的に書き込みます。
ファクトベースで書く(インタビュー・データ活用の方法)
マップの精度を高めるためには、想像ではなくファクト(事実)に基づいて記入することが不可欠です。以下のデータソースを活用しましょう。
- 既存顧客へのインタビュー: 購買の経緯を詳しくヒアリング
- 営業商談の記録: 顧客がどのような質問や懸念を示したか
- Webサイトのアクセスデータ: ユーザーの行動フローや離脱ポイント
- アンケート結果: 顧客満足度や課題に関する定量データ
- SNSや口コミサイトの声: 顧客のリアルな感想や不満
Nielsen Norman Groupも「ジャーニーマップは真実の物語であるべきで、おとぎ話であってはならない」と強調しています。
感情曲線の描き方と「不」の発見
感情曲線は、各フェーズの上部に折れ線グラフを描くイメージで作成します。ポジティブな感情(期待、安心、喜び)を上側に、ネガティブな感情(不安、困惑、不満)を下側にプロットします。
特に注目すべきは、感情がネガティブに振れている箇所です。そこには「不満」「不便」「不安」「不快」のいずれかが存在しており、この「不」を解消することが施策設計の核となります。
ステップ4:企業の目的・態度変容ゴールを書き込む
顧客側の記入が完了したら、各フェーズにおける企業の目的(態度変容ゴール)を書き込みます。
これは「このフェーズの顧客に対して、企業としてどのような状態を作りたいか」という問いへの回答です。たとえば「情報収集」フェーズなら「自社の存在を想起してもらい、Webサイトに訪問してもらう」、「比較検討」フェーズなら「競合との差別化ポイントを理解してもらい、資料請求につなげる」といった形で具体化します。
顧客の行動と企業の目的をセットで記述することで、「ギャップを埋めるために何をすべきか」が明確になります。
ステップ5:施策・タッチポイント・コンテンツ・CTAを設計する
最後に、ステップ3(顧客の行動)とステップ4(企業の目的)の間を橋渡しする具体的な施策を書き込みます。
施策は以下の3要素で整理すると明確になります。
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| タッチポイント | どこで接点を作るか | SEO、SNS広告、展示会、メール |
| コンテンツ例 | 何を届けるか | ブログ記事、ホワイトペーパー、事例紹介、デモ動画 |
| CTA | 次にどんなアクションを促すか | 資料ダウンロード、無料トライアル申込、問い合わせ |
認知フェーズでは広く浅いタッチポイントとコンテンツが中心になり、検討・購入フェーズに進むほどタッチポイントは絞られ、コンテンツの専門性が高まります。この構造を意識して施策を設計することで、ファネル全体をカバーする一貫性のあるマーケティング戦略が完成します。
【すぐ使える】カスタマージャーニーマップのテンプレート構成例
BtoBテンプレート(課題認識〜導入決定〜活用・定着)
BtoB向けテンプレートは、検討期間の長さと複数のステークホルダーの関与を反映した構成が必要です。以下のテンプレート構成例を参考にしてください。
┌──────────┬──────────┬──────────┬──────────┬──────────┬──────────┐
│ │課題認識 │情報収集 │比較検討 │商談・評価 │導入決定 │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│ペルソナ │(共通記載) │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│顧客の行動│ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│思考・疑問│ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│感情 │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│企業の目的│ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│タッチ │ │ │ │ │ │
│ポイント │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│コンテンツ│ │ │ │ │ │
│例 │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│CTA │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│課題・ │ │ │ │ │ │
│ペイン │ │ │ │ │ │
└──────────┴──────────┴──────────┴──────────┴──────────┴──────────┘
BtoBテンプレートのポイントは、「商談・評価」「導入決定」のフェーズに決裁者向けのコンテンツ(ROI資料、導入効果レポート等)を盛り込むことです。現場担当者だけでなく上長や経営層のニーズも反映させましょう。
BtoCテンプレート(認知〜購入〜リピート・推奨)
BtoC向けテンプレートは、感情曲線を重視し、顧客のエモーショナルな体験を可視化する構成がおすすめです。
┌──────────┬──────────┬──────────┬──────────┬──────────┬──────────┐
│ │認知 │興味・関心 │検索・比較 │購入 │リピート │
│ │ │ │ │ │・推奨 │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│顧客の行動│ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│思考・疑問│ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│感情曲線 │ ~~~~~~~~~(折れ線グラフで可視化)~~~~~ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│タッチ │ │ │ │ │ │
│ポイント │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│課題・ │ │ │ │ │ │
│ペイン │ │ │ │ │ │
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼──────────┤
│改善施策 │ │ │ │ │ │
└──────────┴──────────┴──────────┴──────────┴──────────┴──────────┘
BtoCでは感情曲線のネガティブポイントに焦点を当て、そこに改善施策を集中投下するアプローチが効果的です。
SaaS / サブスクリプション型ビジネス向けテンプレート
SaaS・サブスクリプション型ビジネスでは、「契約後」のジャーニーが特に重要です。解約率(チャーンレート)の低減と、アップセル・クロスセルの促進が事業成長の鍵を握るためです。
SaaS向けテンプレートでは、以下のようにフェーズを設定します。
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| 課題認識 | 業務上の課題を自覚する |
| 情報収集 | ツールを探し始める |
| 比較検討 | 候補を絞り込む |
| トライアル | 無料体験で使い勝手を検証する |
| 契約 | 導入を決定する |
| オンボーディング | 初期設定・使い方の習得 |
| 活用・定着 | 日常業務に組み込む |
| 拡張・推奨 | 追加機能の導入、社内外への推奨 |
「トライアル」や「オンボーディング」のフェーズを独立させることで、SaaS特有の課題(初期離脱、定着率の低さ)に対する施策を明確にできます。
テンプレートのダウンロード方法と推奨フォーマット(PPT・Googleスライド・Figma)
カスタマージャーニーマップのテンプレートは、以下のツールで作成・入手できます。
| フォーマット | 特徴 | 入手先 |
|---|---|---|
| PowerPoint | 社内共有しやすい。表機能で手軽に作成可能 | 才流テンプレート(無料DL可) |
| Googleスライド | クラウドで共同編集可能。リアルタイム更新に便利 | Googleテンプレートギャラリー |
| Figma | デザインの自由度が高い。テンプレートが豊富 | Figma Community |
| Miro | ワークショップ向き。付箋感覚で共同作業 | Miro テンプレートライブラリ |
| Canva | デザイン初心者向け。テンプレートをカスタマイズ | Canva テンプレート |
まずは使い慣れたツールで始め、チームでの共同作業が必要になった段階でMiroやFigmaへ移行する流れがスムーズです。
BtoB SaaS企業の記入例(クラウド会計システム)
法人向けクラウド会計システムを提供する企業を想定した記入例です。
| フェーズ | 課題認識 | 情報収集 | 比較検討 | 商談・評価 | 導入決定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 行動 | 経理作業の属人化に危機感を持つ。上司からDX推進の指示を受ける | 「会計ソフト クラウド 比較」で検索。業界メディアの記事を読む | 3〜4社の資料をダウンロード。比較表を作成。社内で共有 | デモを受ける。無料トライアルを試す。上長に報告 | 稟議書を作成。経営層のOKをもらい契約 |
| 思考 | 「今のやり方ではまずい。何かツールがあるはず」 | 「どのツールが自社の規模に合うのか」 | 「費用対効果はどうか。移行の手間は?」 | 「本当に使いこなせるか。サポートは充実しているか」 | 「この投資は妥当か。他社導入事例が欲しい」 |
| 感情 | 焦り・不安 | 期待・少し前向き | 迷い・情報過多で混乱 | 慎重・やや不安 | 決断のプレッシャー |
| タッチポイント | 社内会議、上司からの指示 | Google検索、業界メディア、SNS | 各社Webサイト、資料DL、比較サイト | デモ、トライアル、営業担当 | 稟議書、導入事例PDF |
| 課題 | 何を基準にツールを選べばいいかわからない | 情報が多すぎて整理できない | 各社の違いがわかりにくい | 社内説得の材料が不足 | 経営層を納得させるROI根拠が弱い |
| 施策 | 課題啓発型ブログ記事 | 比較ガイド、ホワイトペーパー | 導入事例、機能比較表 | デモ・トライアル提供、個別提案 | ROI試算シート、経営層向け資料 |
BtoC ECサイトの記入例(アパレル通販)
オンラインで洋服を販売するECサイトを想定した記入例です。
| フェーズ | 認知 | 興味・関心 | 検索・比較 | 購入 | リピート・推奨 |
|---|---|---|---|---|---|
| 行動 | Instagramの広告で新ブランドを見つける | ブランドのアカウントをフォロー。投稿をチェック | ECサイトで商品を閲覧。口コミを確認。他サイトと価格比較 | カートに入れて購入。クーポンを適用 | 届いた商品を着用。SNSに投稿。友人に勧める |
| 思考 | 「おしゃれ!気になる」 | 「他にもかわいいアイテムがありそう」 | 「サイズ感は大丈夫?素材はどんな感じ?」 | 「送料無料ならお得。返品できるなら安心」 | 「気に入った!次も買いたい」 |
| 感情 | ワクワク | 期待が高まる | 不安(サイズ・品質) | 満足(スムーズな決済) | 喜び・共有したい気持ち |
| 課題 | ブランド認知がまだ低い | フォローだけで購入に至らない | サイズ表記だけでは不安が解消されない | カゴ落ちが発生しやすい | リピート率が伸び悩む |
| 施策 | Instagram広告・インフルエンサー施策 | コーディネート提案コンテンツ | 着用レビュー・サイズガイド動画 | 送料無料施策・返品保証の明示 | ポイントプログラム・レビュー投稿促進 |
BtoC 店舗ビジネスの記入例(飲食店)
地域密着型の飲食店を想定した記入例です。
| フェーズ | 認知 | 興味・関心 | 来店検討 | 来店・利用 | リピート・口コミ |
|---|---|---|---|---|---|
| 行動 | 友人のSNS投稿で店を知る。Googleマップで発見 | 食べログやInstagramで写真・口コミを確認 | 立地・営業時間・予算を確認。予約できるか調べる | 来店して食事を楽しむ | 再来店。口コミを投稿。友人に紹介 |
| 思考 | 「おいしそう!行ってみたい」 | 「口コミの評価はどうだろう」 | 「予約しやすいかな。アクセスは良いか」 | 「味もサービスも良い。満足」 | 「また行きたい。友達にも教えよう」 |
| 感情 | 興味 | 期待 | 少し面倒(予約手続き) | 満足・感動 | 愛着・推奨意欲 |
| 課題 | 認知範囲が狭い(地域限定) | 口コミが少なく判断材料不足 | 予約導線がわかりにくい | 混雑時のサービス品質低下 | リピートの仕組みがない |
| 施策 | Googleビジネスプロフィール最適化・地域SNS活用 | 口コミ投稿キャンペーン | オンライン予約の導入・アクセス案内強化 | ピークタイム対策・接客研修 | LINE公式アカウント・スタンプカード |
ジャーニーマップの「カゴ落ち」「離脱」課題にはDataPush
上記のBtoC ECサイトの記入例では、「カゴ落ちが発生しやすい」「リピート率が伸び悩む」といった課題が浮き彫りになりました。カスタマージャーニーマップで課題を可視化した後は、施策の実行が重要です。
DataPush(データプッシュ) なら、以下のような施策をノーコードで即実行できます。
| 課題 | DataPushでの解決策 |
|---|---|
| カゴ落ち(購入離脱) | 離脱直前にクーポン・送料無料オファーをポップアップ表示 |
| リード獲得不足 | メルマガ登録フォームを最適なタイミングで表示 |
| リピート率の低迷 | 再訪ユーザーに限定オファーを表示 |
| 施策の効果がわからない | ABテスト機能でポップアップの効果をデータで比較 |
ページごとにポップアップを出し分けできるため、カスタマージャーニーマップの各フェーズに応じた最適なメッセージを設計できます。
BtoBの特徴:複数ステークホルダー・長期検討・リードナーチャリング連動
BtoBのカスタマージャーニーマップには、BtoCにはない3つの特徴があります。
第一に、購買プロセスに複数のステークホルダーが関与する点です。現場担当者、部門長、情報システム部門、経営層など、それぞれの関与者が異なる関心事と判断基準を持っています。マップ上に「どのフェーズで誰が関与するか」を明記することが重要です。
第二に、検討期間が長い点です。数週間から数か月、場合によっては年単位の検討期間が発生します。この長期間にわたって見込み顧客との関係を維持するために、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)の設計とカスタマージャーニーマップを連動させることが効果的です。
第三に、意思決定が論理的・合理的に行われる傾向が強い点です。ROI(投資対効果)やTCO(総所有コスト)といった定量的な判断材料が重視されるため、各フェーズのコンテンツにもデータや数値に基づいた情報提供が求められます。
BtoCの特徴:感情曲線重視・SNS口コミ・衝動要素
BtoCのカスタマージャーニーマップは、感情の変化がジャーニー全体に大きく影響する点が特徴です。
BtoCでは、顧客は個人として意思決定を行います。SNSでの口コミ、友人からのおすすめ、ブランドの世界観、購入時のワクワク感など、感覚的・情緒的な要素がタッチポイントに含まれやすい点が特徴です。
また、BtoCでは衝動的な購買も一定の割合で発生します。「今だけ限定」「残りわずか」といった緊急性の訴求や、購入プロセスの簡略化(ワンクリック購入等)がジャーニーの設計に影響する点もBtoBとの大きな違いです。
【比較表】BtoB / BtoCの主要な違い一覧
| 項目 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 意思決定者 | 複数人(起案者・決裁者・利用者) | 個人(本人) |
| 検討期間 | 長期(数週間〜数か月) | 短期(数分〜数日) |
| 重視される要素 | ROI・機能・サポート体制 | 感情・ブランド・口コミ |
| 主なタッチポイント | Webサイト・セミナー・営業商談・展示会 | SNS・広告・ECサイト・口コミ |
| コンテンツの傾向 | ホワイトペーパー・事例・比較表 | 写真・動画・レビュー・体験談 |
| 購買後の重点 | オンボーディング・定着支援 | リピート促進・口コミ拡散 |
| ペルソナの数 | 3〜5パターン推奨 | 1〜3パターン推奨 |
失敗①:企業の願望マップになってしまう
最も多い失敗は、顧客の実態ではなく「こうあってほしい」という企業側の理想を書いてしまうことです。
カスタマージャーニーマップは「顧客がどう動いているか」を可視化するものであり、「こう動いてほしい」を描くものではありません。必ずファクト(顧客インタビュー、行動データ、営業記録等)に基づいて作成してください。想像や希望で書かれたマップは、マーケティング施策の方向性を誤らせるリスクがあります。
失敗②:マーケティング部門だけで作成する
カスタマージャーニーは認知から購入後のサポートまでを対象とするため、マーケティング部門だけでは全フェーズをカバーできません。
営業部門は商談フェーズの顧客心理を、カスタマーサクセス部門は活用・定着フェーズの実態を、それぞれ最も深く理解しています。複数部門のメンバーを集めて作成することで、リアリティのあるマップが完成します。
失敗③:作って終わり、更新しない
どんなに丁寧に作成したマップも、更新しなければ半年後には陳腐化します。
市場環境、競合状況、顧客の行動パターンは常に変化しています。少なくとも四半期に一度はマップを見直し、新たに得られた知見や施策の成果を反映させましょう。マップの最終更新日を明記しておくことで、チーム内での鮮度管理も容易になります。
失敗④:一人で作成し視点が偏る
一人で作成すると、その人の得意分野に施策が偏りがちです。
たとえばSEOに詳しい人が一人で作ると、全フェーズの施策がWebコンテンツ中心になってしまうケースがあります。ワークショップ形式で複数人のメンバーを集め、付箋やオンラインホワイトボードを使ってブレインストーミングしながら進めることで、多角的な視点を盛り込めます。
失敗⑤:ビジュアルにこだわり内容が薄い
デザインツールで見栄えのするマップを作ることに時間を費やし、肝心の内容が浅いケースも見られます。
カスタマージャーニーマップの価値は、ビジュアルの美しさではなく、記載されている情報の質と深さにあります。まずは内容の精度を高めることに集中し、ビジュアルの整備は後から行いましょう。最初は手書きやスプレッドシートで十分です。
Miro(ワークショップに最適)
Miroは、オンラインホワイトボードツールの代表格です。カスタマージャーニーマップ専用のテンプレートが複数用意されており、リアルタイムで複数人が同時編集できるため、ワークショップ形式での作成に最適です。付箋を貼る感覚で直感的にアイデアを書き出せるため、ブレインストーミングとの相性も抜群です。
公式サイト: https://miro.com/
Figma / FigJam(デザインチーム連携向き)
Figmaはデザインツールとして広く利用されており、FigJamはその姉妹ツールとして共同作業に特化しています。Figma Communityにはカスタマージャーニーマップのテンプレートが多数公開されており、無料で利用可能です。デザイナーやUXチームとの連携が多い企業におすすめです。
公式サイト: https://www.figma.com/
Lucidchart(直感操作のダイアグラムツール)
Lucidchartは、フローチャートやダイアグラムの作成に強いクラウドツールです。カスタマージャーニーマップのテンプレートも豊富に揃っており、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で素早くマップを作成できます。GoogleワークスペースやMicrosoft 365との連携も充実しています。
公式サイト: https://www.lucidchart.com/
Canva(デザイン初心者でも簡単)
Canvaは、デザインの専門知識がなくても美しいビジュアルを作成できるツールです。カスタマージャーニーマップのテンプレートも用意されており、色やフォントのカスタマイズも容易です。無料プランでも十分な機能が利用できるため、手軽に始めたい方に適しています。
公式サイト: https://www.canva.com/
PowerPoint / Googleスライド(導入コストゼロ)
PowerPointやGoogleスライドは、多くの企業で既に導入されているため、追加コストなしで始められます。表機能と図形機能を組み合わせれば、十分に実用的なカスタマージャーニーマップが作成可能です。社内フォーマットの統一を重視する場合にも適しています。
Notion / スプレッドシート(テキストベースで管理したい場合)
Notionやスプレッドシートは、テキストベースでカスタマージャーニーの情報を管理したい場合に有効です。ビジュアル面では他のツールに劣りますが、データベース機能と連携させて施策の進捗管理やKPIトラッキングまで一元管理できる点が強みです。
| ツール名 | 主な強み | 費用 | おすすめの利用シーン |
|---|---|---|---|
| Miro | リアルタイム共同編集 | 無料プランあり | ワークショップ形式 |
| Figma / FigJam | デザイン自由度が高い | 無料プランあり | デザインチーム連携 |
| Lucidchart | ダイアグラム特化 | 無料プランあり | フロー図との連携 |
| Canva | 初心者でも簡単 | 無料プランあり | 手軽にビジュアル化 |
| PowerPoint / Gスライド | 導入コストゼロ | 無料〜既存ライセンス | 社内共有重視 |
| Notion / スプレッドシート | データ管理と連携 | 無料プランあり | テキストベース管理 |
生成AIを使ったペルソナ・ジャーニー初期設計の高速化
生成AIを活用することで、カスタマージャーニーマップの初期設計にかかる時間を大幅に短縮できます。
たとえば、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに自社のビジネス概要、ターゲット顧客の情報、商品やサービスの特徴を入力すると、ペルソナの草案やフェーズ設計の叩き台を数分で生成できます。これまで数時間かけていた初期設計作業が、AIの支援により大幅に効率化されます。
具体的な活用方法としては、以下のようなプロンプトが有効です。
- 「自社のターゲット顧客像を3パターン提案してください」
- 「BtoB SaaS企業のカスタマージャーニーマップのフェーズと各フェーズの顧客行動を提案してください」
- 「以下のペルソナが各フェーズで抱える感情と課題を推定してください」
ただし、AIが生成した内容はあくまで「叩き台」です。次のH3で述べる通り、人間による検証と修正が不可欠です。
行動データ×AIで「リアルタイムジャーニー分析」を実現する
従来のカスタマージャーニーマップは「仮説」に基づく静的なドキュメントでしたが、AI技術の進化により「データに基づくリアルタイムジャーニー分析」が可能になりつつあります。
Webサイトのアクセスログ、CRMデータ、メール開封率、SNSのエンゲージメントデータなどをAIが統合的に分析し、顧客がジャーニーのどのフェーズにいるかをリアルタイムで判定します。Zoomが発表した2026年のAIテクノロジートレンドでは、「生成AIとジャーニー分析の統合により、チャネル全体の障害点を定量化し排除できるようになる」と予測されています。
この分野で代表的なツールとしては、Salesforce Marketing Cloud、HubSpot、Adobe Journey Optimizerなどがあり、いずれもAIによる顧客ジャーニーの自動分析・最適化機能を搭載しています。
AIエージェントによるパーソナライズ体験設計の最前線
2026年のマーケティングトレンドとして注目されているのが、AIエージェントによる顧客体験のパーソナライズです。
AIエージェントとは、顧客の行動データに基づいて自律的にアクションを実行するAIシステムです。たとえば、顧客がWebサイトで比較検討フェーズにあると判定されたら、自動的にその顧客に適した事例紹介メールを送信する、といった動作が可能になります。
Contentsquareの2026年版デジタルエクスペリエンスレポートによると、AIによる顧客発見チャネルの変化が加速しており、従来のジャーニーモデルだけでは捉えきれない新しい接点が増えていると報告されています。カスタマージャーニーマップを固定的なドキュメントとしてではなく、AIと連携したダイナミックな顧客体験設計の基盤として位置づけることが重要です。
AI活用時の注意点:人間のレビューが不可欠な理由
AIは強力なツールですが、カスタマージャーニーマップの作成において「すべてをAI任せ」にすることは推奨されません。
AIが生成するペルソナやジャーニーは、学習データに基づく「一般的なパターン」を提示するものです。自社の顧客特有の行動や心理、業界固有の商慣習までを正確に反映できるとは限りません。必ず現場の知見を持つ人間がレビューし、自社の実態に合うように修正する工程が不可欠です。
MOLTS社もAI活用について「経験値と判断力を持った人材がAIの出力を適切に評価することで、より実用的で精度の高いカスタマージャーニーマップを作成できる」と指摘しています。AIは「効率化のパートナー」であり、「代替者」ではないという認識が重要です。
各施策にKPIを設定し効果測定と連動させる
カスタマージャーニーマップは、作成した時点では「仮説」です。仮説を検証するために、マップ上の各施策にKPIを設定し、効果測定と連動させることが不可欠です。
たとえば、「比較検討」フェーズに設置したホワイトペーパーであれば、ダウンロード数、そこから商談化に至った割合、最終的な受注率などを追跡します。これにより、施策の効果を定量的に評価し、マップの改善に活かすことができます。
| フェーズ | 施策例 | KPI例 |
|---|---|---|
| 認知 | SEO記事 | オーガニック流入数、検索順位 |
| 情報収集 | ホワイトペーパー | ダウンロード数、リード獲得数 |
| 比較検討 | 事例紹介ページ | ページ閲覧数、資料請求率 |
| 商談 | デモ・トライアル | トライアル申込数、商談化率 |
| 活用 | オンボーディング | 初期設定完了率、利用定着率 |
四半期ごとのレビュー会で定期更新する
カスタマージャーニーマップの鮮度を保つために、四半期に一度のレビュー会を設けることを推奨します。
レビュー会では、マーケティング・営業・カスタマーサクセスなど関係部門のメンバーを集め、以下の観点でマップを見直します。
- 顧客の行動や心理に変化はないか
- 新たに発見されたペインポイントはないか
- 施策の効果測定結果を踏まえた修正は必要か
- 競合環境の変化によるフェーズの見直しは必要か
更新のたびにマップに最終更新日を明記し、変更履歴を残すことで、チーム内での鮮度管理も容易になります。
顧客インタビューを継続し精度を高め続ける
マップの精度を高め続けるには、定期的な顧客インタビューが欠かせません。
既存顧客だけでなく、失注した見込み顧客や解約した顧客へのヒアリングも非常に有益な情報源です。特に「なぜ自社を選ばなかったか」「なぜ解約したか」というネガティブなフィードバックは、マップの課題・ペインポイント欄を充実させる貴重な材料となります。
半年に1回、3〜5名程度の顧客インタビューを実施するだけでも、マップの精度は大幅に向上します。
社内の「共通言語」として会議やプロジェクトの起点にする
カスタマージャーニーマップの最も効果的な活用法は、社内の会議やプロジェクトの起点として日常的に参照することです。
新しい施策を企画する際に「ジャーニーマップのどのフェーズに効くのか」を確認するだけで、施策の目的と優先順位が明確になります。また、営業チームが新メンバーにサービスの顧客像を説明する際の教材としても活用できます。
棚にしまっておくのではなく、壁に貼り出す、社内Wikiに常時掲載する、定例ミーティングの冒頭で確認するなど、マップが自然と目に入る環境をつくることが「生きた資産化」の秘訣です。
- カスタマージャーニーマップは「古い」「もう不要」と聞きましたが本当ですか?
-
結論から言うと、カスタマージャーニーマップは2026年現在も有効なフレームワークです。
「古い」と指摘される背景には、従来型の「一度作って終わり」の固定的なマップに対する批判があります。顧客の購買行動がリアルタイムで変化する現代において、数年前に作ったマップをそのまま使い続けることは確かに問題です。
しかし、顧客体験を可視化し、組織全体で共通認識を形成するというカスタマージャーニーマップの本質的な価値は変わっていません。むしろ、AI技術やリアルタイムデータ分析と組み合わせることで、従来以上に強力なツールへと進化しています。
重要なのは「作ったら定期的に更新する」「データに基づいてアップデートする」という運用面です。静的なドキュメントとしてではなく、動的な戦略ツールとして活用すれば、カスタマージャーニーマップは依然として顧客理解の最も有効な手段の一つです。
- 1枚のマップにどこまで詰め込むべきですか?
-
結論として、1枚のマップには「一つのペルソナ × 一つのシナリオ」を記載することを推奨します。
よくある失敗は、異なるペルソナや複数のシナリオを1枚のマップに詰め込みすぎてしまうことです。こうなるとマップが複雑化して読みにくくなり、実用性が失われます。
たとえばBtoBで「現場担当者」と「経営層」の2つのペルソナがある場合は、それぞれ別のマップを作成します。同様に、「新規顧客の獲得ジャーニー」と「既存顧客の解約防止ジャーニー」も別のマップとして作成する方が、施策の焦点が明確になります。
縦軸の項目数についても、最初は「行動・思考・感情・タッチポイント・課題・施策」の6項目程度に絞り、必要に応じて追加する方がスムーズに進められます。
- 購入後のジャーニーも含めるべきですか?
-
結論として、購入後のジャーニーも含めることを強く推奨します。
近年のマーケティングでは、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化することが重視されています。新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5〜25倍とも言われており、購入後の「活用促進」「ロイヤルカスタマー化」「口コミによる紹介獲得」はビジネス成長の重要なドライバーです。
特にSaaS・サブスクリプションモデルのビジネスでは、契約後の「オンボーディング」「定着」「アップセル」のフェーズがLTVに直結するため、購入後のジャーニーを含めないマップは不完全と言わざるを得ません。
BtoCにおいても、リピート購入やSNSでの口コミ・推奨は新規顧客獲得の強力なチャネルです。購入前から購入後までを含めた包括的なジャーニーを設計しましょう。
カスタマージャーニーマップは、顧客体験を可視化し、組織全体で共通認識を持つための強力なフレームワークです。本記事で解説した内容を、全体フローとして改めて整理します。
作成の全体フロー:
- ペルソナを作成する — 誰の旅を描くかを決める(精度50点でOK)
- ゴールとフレームワークを設計する — 横軸(フェーズ)と縦軸(構成要素)を設定する
- 顧客の行動・思考・感情を書き込む — ファクトベースで、顧客側から記入開始
- 企業の目的を書き込む — 各フェーズでの態度変容ゴールを設定する
- 施策・タッチポイント・コンテンツを設計する — 顧客と企業の間を橋渡しする具体策
- KPIを設定し、運用・改善サイクルを回す — 四半期ごとのレビューで継続更新
完璧なマップを一度で仕上げる必要はありません。まず50点の精度で作成し、施策を実行しながらデータと顧客の声をもとに改善を重ねる——このサイクルを回し続けることが、カスタマージャーニーマップの最大の活用法です。
2026年はAI技術との連携によって、従来以上にデータに基づいた精度の高いジャーニー設計が可能になっています。本記事のテンプレート構成例や記入済みサンプルを活用し、ぜひ自社のカスタマージャーニーマップ作成に取り組んでみてください。
引用元・参考URL一覧
Nielsen Norman Group(カスタマージャーニーマップの定義・原則)
fixit-lab(新規事業開発×カスタマージャーニーマップ)
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カスタマージャーニーマップ × DataPushで成果を最大化
本記事では、カスタマージャーニーマップの作り方から運用方法まで網羅的に解説しました。マップを作成することで顧客の行動・思考・感情が可視化され、施策の優先順位が明確になります。
しかし、マップを作っただけでは成果は生まれません。発見した課題に対して、すぐに施策を実行することが何よりも重要です。
特に、カスタマージャーニーマップで頻繁に課題として浮上する「Webサイトからの離脱」「カゴ落ち」「リード獲得の機会損失」に対しては、離脱防止ポップアップツール DataPush(データプッシュ) が即効性のある解決策となります。
DataPushの特徴:
- コンバージョン率を最大10%向上 — 離脱直前のユーザーに最適なメッセージを表示
- 無料プランで今すぐ開始 — クレジットカード不要、5分で導入完了
- 豊富なテンプレート&ABテスト — ノーコードでポップアップ作成、データで効果検証
- ページ単位の出し分け — ジャーニーマップのフェーズに応じたメッセージ設計が可能
カスタマージャーニーマップで見つけた課題を「作って終わり」にせず、今すぐ改善アクションにつなげましょう。

